佐賀県 森外科医院 苦痛のない内視鏡検査
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帯状疱疹・口唇ヘルペス

口唇(こうしん)ヘルペスとは

ウイルスが原因の感染症です。

口唇ヘルペスは、ヘルペスウイルスが原因の感染症で、くちびるの周りに水ぶくれができる病気です。
風邪をひいたり、熱がでたり、紫外線を浴びたりしたことが誘因となってできるので、熱の華や風邪の華とも言われ、この名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
この病気は、子供の頃家族間で感染し、潜伏感染している場合が多く免疫機能が低下すると潜伏するウイルスが暴れ出し、再発を繰り返すのが特徴の疾患です。

口唇(こうしん)ヘルペスとは

1初感染

多くは子供のころにヘルペスウイルスに感染し、気づかない場合もあります。大人になってから初感染すると、症状が重いことが多く、再発を繰り返しやすいと言われています。

2潜伏感染

一度感染すると、ウイルスは三叉神経節と言われるところに一生住み着きます。これを潜伏感染と言います。体調が悪くなると、ウイルスが暴れ出し、再発します。

3再発

潜伏感染しているウイルスが、再び暴れ出すことを再発といいます。

◎ヘルペスウイルスは8種類あります。主なヘルペスウイルスとその病気は以下の通りです。

単純ヘルペスウイルス1型(HHV-1)

口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性角膜炎、カポジ水痘様発疹症など

単純ヘルペスウイルス2型(HHV-2)

性器ヘルペス、臀部ヘルペス、ヘルペス性髄膜炎

水痘・帯状疱疹ウイルス(HHV-3)

みずぼうそう、帯状疱疹

主な治療は、抗ウイルス薬と塗り薬(外用剤)、消炎鎮痛薬を処方し抗生物質を使用することもあります。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは帯状疱疹は、日常よくみられる病気で年間50万人前後、生涯では2000万人以上(一生のうち5~7人に1人)がなるといわれています。悪い病気はなく、人に「うつす」こともありませんが、その特徴的ない「痛み」が問題となり、夜も眠れないなどの苦痛と不安のため精神的にもつらい思いをしてしまいます。
身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気です。この症状に由来して、「帯状疱疹」という病名がつけられました。
帯状海疹は、身体の中に潜んでいたヘルベスウイルスの一種、水痘·帯状庖疹ウイルスによって起こります。水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状庖疹になる可能性があります。
60歳代を中心に50歳代~70歳代に多くみられる病気ですが、過労やストレスが引き金となり若い人に発症することも珍しくありません。

  • はじめて水痘(すいとう)帯状庖疹ウイルスに感染したときは、水ぼうそうとして発症します。
  • 水ぼうそうが治ったあとも、 ウイルスは体内の神経節に潜んでいます(潜伏感染)。
  • 加齢やストレス、 過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状泡疹として発症します。
  • 通常は同じ場所には生涯に1度しか発症せず、免疫が低下している患者さんでは再発することもよくあります。
    主な発症部位:一般に身体の左右どちらか一方の神経に沿っておび状にあらわれるのが特徴です。帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは
  • 胸から背中にかけて最も多くみられ、全体の半数以上が上半身に発症します。また、顔面、特に眼の周囲も発症しやすい部位です。
    頭部~顔面:17.6%、顕部~上肢:14.5%、上肢~胸背部:31.2%、腹背部:19.6%、腰腎部~下肢:17.1%
    石川博康ら:日皮会誌,113(8). 1229(2003)

年々増え続ける帯状疱疹とブースター効果

年々増え続ける帯状疱疹とブースター効果水ぼうそうにかかったことのある人や、水痘ワクチンを打って免疫ができた人は、水ぼうそうにかかった人に接触することで、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫が強化され、帯状疱疹にかかりにくくなります(これをブースター効果といいます)。
しかし、水痘ワクチンの定期接種が導入された2014年以降は、水ぼうそうにかかる子供が劇的に減り、ブースター効果が得られにくくなっています。2014年以降、20歳以上のすべての年代で、帯状疱疹にかかる人が急増しています。 (こまど通信No.63より引用)

皮膚症状の経過

赤い斑点や湿疹があらわれる2-3日前から皮膚の違和感ややビリピリ感などの神経痛がでることがあります。

その後、強い痛みを伴い、身体の片側の神経に沿って帯状にやや盛り上がった赤い斑点があらわれます。軽度の発熱やリンパ節のはれなどがみられることもあります。

続いて赤い斑点上に水ぶくれ(中央部にくぼみができることがあります)があらわれます。水ぶくれは破れてただれた状態となり、かさぶたへと変わります。

皮膚症状の経過

●皮膚と神経の両方でウイルスが増殖して炎症が起こっているため、皮膚症状だけでなく強い痛みが生じます。

合併症

一般的な合併症として、39度以上の発熱や頭痛がみられることがあります。また、顔面の帯状狗疹では、角膜炎や結膜炎などを起こすことがあります。その他の合併症として、 まれに耳鳴りや難聴、顔面神経麻癖などが生じることがあります。これをラムゼイ·ハント症候群と呼びます。皮膚症状が治ったあとも、後遺症として帯状癌疹後神経痛が残ることがあります

やっかいな後遺症(帯状庖疹後神経痛)

皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリするような痛みが持続することがあります。これを帯状癒疹後神経痛といいます。これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことによって起こります。

やっかいな後遺症(帯状庖疹後神経痛)

急性期痛と帯状庖疹後神経痛の痛みの違い

  • 急性期痛は、皮膚や神経の炎症によるものですが、帯状泡疹後神経痛は神経の損傷によるものです。
  • 帯状泡疹後神経痛が残った場合は、ペインクリニックなどでの専門的な治療が必要となる場合があります。

次のような人は、帯状庖疹後神経痛が残る可能性が高いため、 注意が必要です。

  • 皮膚症状が重症
  • 夜も眠れないほど強い痛みがある
  • 高齢者(60歳以上)

帯状疱疹の治療および、痛みが強い方は、麻酔科標榜の当院にご相談ください。

帯状疱疹の治療(局所軟膏と抗ウイルス薬)

治療は、抗ヘルペスウイルス薬を中心に行いますが、ストレスが原因のことも多く休養と安静も必要です。抗ヘルペスウイルス薬はウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みなどをやわらげ、治るまでの期間を短縮します。 発疹が出てから3日以内に治療を始めることが重要です。ウイルスが少ない初期段階から治療を開始することで重症化のリスクを軽減することができます。

また、必要に応じて、消炎鎮痛薬や、 痛みに対して神経ブロックという治療がおこなうことがあります。当院では、痛み軽減のレーザー治療も併用します。
お薬の効果があらわれるまでに2日程度かかりますので、服用してすぐに効果があらわれないからといって、服用量を増やしたり、 途中でやめたりしないで、指示通りに服用しましょう。
抗ヘルペスウイルス薬は、 発病早期に服用を開始するほど、治療効果が期待できます。
帯状泡疹の特徴的な症状を自覚したら、できる限り早く当院にご相談ください。

*帯状庖疹後神経痛の治療については鎮痛薬、神経ブロックや抗うつ薬などにより、 痛みをできるだけ軽くするための治療も行います

帯状疱疹の予防接種とは

帯状疱疹ワクチンとは、帯状疱疹の発症予防・重症化予防をするために、帯状疱疹ウイルスの毒性をなくし、あらかじめ投与するワクチン」のことです。帯状疱疹ワクチンには、2016年に認可された「弱毒生水痘ワクチン」2020年に認可された「シングリックス®」の2種類があります。

1、弱毒生水痘ワクチン

弱毒生水痘ワクチン(ビケン製)は、病原性を人体に影響のない程度に弱くした生きたウイルスが含まれており(生ワクチンと呼びます)、小児に使用する水痘ワクチンと同じものです。2016年から50歳以上の成人の帯状疱疹予防としても認可されています。

60歳以上を対象としたアメリカの調査では、このワクチンにより帯状疱疹の発生率が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発生率も66.5%減少し、帯状疱疹の重症度も61.1%低下したとの報告があります(2005年NEJM誌による帯状疱疹ワクチン群とプラセボ(偽薬)群との比較)。しかし長期追跡調査では、ワクチン効果は 8 年~10 年で効果が消失してしまうようです。

主な副反応は、打った場所の「局所反応」(発赤や腫れ、かゆみなど)全身反応(発熱、倦怠感など)があります。2-3%に全身性の水痘様発疹がみられることがあります。

以下の方は投与できません。
・化学療法やステロイドなど免疫を抑える治療をしている方
・免疫力が落ちている方(HIV感染)
・妊娠していることが明らかな方(ワクチン接種後2か月間は妊娠を避けてください)
・水痘ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある方
・カナマイシン、エリスロマイシンの抗生剤にアレルギー反応を起こした方(ワクチンにこれらの抗生剤の成分が含まれます)

2、帯状疱疹不活化ワクチン「シングリックス®」

「シングリックス®」はサブユニットワクチンという種類で、ウイルス表面タンパクの一部を抗原とした組換えワクチンです。2020年の厚生労働省に認可されています。

従来のワクチン(弱毒水痘生ワクチン)に比べて帯状疱疹を予防する効果が高いのが特徴です。50歳以上で97.2%・70歳以上で97.9%の発症予防効果(平均3.2年間の観察)が報告されており、また、70歳以上でもワクチン有効率は91.3%、帯状疱疹後神経痛への有効率は 88.8%と、帯状疱疹後神経痛 に対しても高い有効性があることが証明されています。 長期試験でも、ワクチン接種 8 年後の予防効果が 84.0% 以上に保たれているようです。このように長期間ワクチン予防効果が保たれるのが特徴です。

主な副反応としては注射部位局所反応は、痛み78% 赤み38% 腫れ26%などです。全身性副反応では、筋肉痛40%、疲労39%、頭痛33%、悪寒24%、発熱18%、胃腸症状13%などとなっています。7日以内に多くの副反応は改善していくようです。

以下の方は投与できません。
・明らかな発熱(通常37.5℃以上)がある方
・重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
・本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
・ほかに予防接種を行うことが不適当な状態にある方 など

🔲 一長一短があるので自分に合ったものを選びましょう

帯状疱疹を予防するワクチンは「弱毒生水痘ワクチン」「シングリックス®」の2種類あり、2つのワクチンの違いを簡単に説明すると以下の表のようになります。

・高い予防効果を期待する場合 ➡ シングリックス
・長い間予防効果を持続させたい場合 ➡ シングリックス
・副反応を抑えたい場合 ➡ 弱毒生水痘ワクチン
・接種回数を1回で抑えたい場合 ➡ 弱毒生水痘ワクチン
・妊娠中や免疫を抑える治療などされている方 ➡ シングリックス
・値段を抑えて予防したい場合 ➡ 弱毒生水痘ワクチン   などとなります。

 ※ 接種を迷われる方は、当院にご相談ください。

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