禁煙しましょう
健康に悪いことはわかっているけどやめられない「タバコ」。実際、「タバコ=肺がんになりやすい」と思っている方も多いですが、肺がんだけではなく、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、すい臓がんなどのリスクも上昇します。そのほか、狭心症や心筋梗塞の死亡: 1.7倍~3倍、突然死: 1.4~10倍、脳卒中(脳梗塞や脳出血):2~3倍と様々な疾患にかかりやすくなります。また、両親がタバコを吸う家庭で育ったお子さんの死亡率もあがってしまい、逆に学力は低下してしまうというデータもあります。
また、もともと喘息や肺気腫がある方がタバコを吸っていると、息苦しさがなかなか取れないばかりか、最後には酸素ボンベを持ち歩かなければならないようになってしまします。
たばこの煙には約4,000種類以上の化学物質と、約200種類が有害物質が含まれています。その中で特に、ニコチン、一酸化炭素、タールは3大有害物質と呼ばれています。
たばこの主流煙中には数千~1万ppm以上の一酸化炭素(CO)が含まれています。これはアイドリング中の自動車排気ガス(法定1万ppm以下)と同等です。喫煙者がCO中毒死しないのは吸入が間欠的だからに過ぎません。
COは血液中の赤血球のヘモグロビン(Hb)と強力に結合して(酸素O2の200~250倍)血液の酸素運搬能を奪い、身体の運動能力を低下させます。また、心筋が低酸素かつ過負荷となることによって虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や不整脈が起こりやすくなるほか、代償的に多血症が起こり血液の粘度が増し、血栓が形成されやすくなります。
呼気中の一酸化炭素濃度は、簡単にその場で測定できます。
正常では、0-5 ppm
5-15本/日の喫煙で、5-15 ppm
20本/日の喫煙で、20 ppm
40本/日以上のヘビースモーカーで、30-40ppm以上になります。 大気汚染の上限が12ppm程度です。
※病気だけではありません。経済的にも禁煙は大きなメリットです。
1日1箱(20本・500円)吸っていた場合
1年 500円 × 365日 = 18万2500円
5年 500円 × 365日 × 5年 = 92万円
10年 500円 × 365日 × 10年 = 183万円
とたばこをやめると一財産(家族で海外旅行に行けます、車が買えます)できてしまいます。
ニコチン依存症
血液中のニコチン濃度がある一定以下になると不快感を覚え、喫煙を繰り返してしまうようになります。たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれ、ニコチンは急速に脳内の腹側被蓋野にあるα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合します。ニコチンが受容体に結合することで、側坐核から大量のドーパミンが放出されます。ドーパミンは快楽に関わる脳内神経伝達物質であり、そのドーパミンの大量放出により強い快感が得られます。
たばこが吸えない状態が続いたときに喫煙することによって、離脱症状という不快な症状が消失するため、再び喫煙を続けてしまう現象(負の強化)が起こります。その強化の結果、喫煙を繰り返してしまうのがニコチン依存症の特徴です。
ニコチン依存は病気で、その依存性は麻薬に匹敵します。
ニコチンが脳内のα4β2ニコチン受容体に結合するとドパミンが放出され、喫煙による快感と喫煙行動の強化が生じ、依存症につながります。
チャンピックスというお薬(禁煙補助薬)で治療を行います。(約3か月間)
一言でいうと「たばこをあまりおいしく感じなくする薬」です。タバコを吸っても、ニコチンが作用する部位をブロックし、喫煙によるリラックス効果や快感を減らす作用があります。
また脳内で部分的にニコチンと同じ働きをします。禁煙することによる離脱症状をおさえ、タバコを吸いたくなる気持ちを和らげる作用を持っています。
チャンピックスの副作用
代表的な副作用に眠気や吐き気があります。眠気がある場合には車の運転には注意が必要です。吐き気などは治療初期に出やすいですが、慣れてくるとおさまってくることもあります。吐き気止めと併用したり量を調整したりしてなるべく継続するようにします。
禁煙の効果
1日1箱(20本)500円として、1年間で18万円以上、10年で180万~200万円近くの節約になります。
禁煙外来の成功率は?
チャンピックス®を使用した場合、自力で禁煙する場合と比較して、禁煙成功率は約3倍、禁煙外来を利用した70%以上の方が3か月後から1年の時点で禁煙に成功されています。
加熱式タバコも禁煙外来の対象です。 加熱式タバコの煙には、紙巻タバコと同様に、ニコチンやさまざまな有害物質が含まれています。 禁煙外来でぜひ相談してみてください。