下剤の重要性
大腸カメラ検査は、大腸の内側を詳しく観察し、異常を早期に発見するための重要な検査です。この検査の前には、腸内をきれいにするために「下剤」を服用する必要があります。
下剤を使用することで、大腸内の便を残らず排出し、検査画像を鮮明にすることができます。これにより、病変の見逃しを防ぎ、検査の精度を高めると共に検査後の回復を早めることができます。
下剤を飲み切ることで、腸内が完全にきれいになり、医師はポリープやがんなどの微小な病変を見逃すことなく発見することができます。逆に、下剤を飲み切らずに腸内が不完全にしか洗浄されていない場合、検査の精度が低下し、ポリープや初期のがんを見逃すリスクが高まります。
ポリープは、大腸がんの前兆となることが多く、早期に発見して除去することで、大腸がんの発症を予防することができます。ポリープが見つかりやすい状態を保つためには、下剤を指示通りに飲み切り、腸内を完全にきれいにすることがとても重要です。
下剤に対する懸念と森外科医院の対応
初めて大腸カメラ検査を受ける方や、過去に下剤を使用した経験がある方からは、下剤に対するさまざまな懸念が寄せられます。
- 「急速に便意をもよおすことが怖い」
- 「下剤の量が多くて飲みきれない
- 「味が合わずに飲むのが辛い」
当院では、このような患者様の声に真摯に向き合い、複数の下剤を用意しております。 患者様のニーズに合った下剤を選択していただけるようにしております。
森外科医院で提供している下剤の種類
森外科医院では、以下の5種類の下剤を提供しており、患者様の状態や好みに応じて選択して頂いております。
- サルプレップ
- モビプレップ
- マグコロールP
- ニフレック
- ビジクリア
下剤の種類 | 味 | 飲む量 | 洗浄力 | 飲み方 | 内視鏡的洗浄液注入法 | 鼻チューブ法 |
---|---|---|---|---|---|---|
サルプレップ | ◎ (レモン風味) |
1L | ◎ (高い) |
〇 | 〇 | 〇 |
モビプレップ | 〇 (梅ジュース風味) |
1.5L | ◎ (高い) |
〇 | 〇 | 〇 |
マグコロールP | 〇 (薄いスポーツドリンク風味) |
1.5L | 〇 (中程度) |
△ | 〇 | 〇 |
ニフレック | × (レモン風味) |
2L | 〇 (中程度) |
◎ | 〇 | 〇 |
ビジクリア | 錠剤 | 50錠 | 〇 (中程度) |
〇 | × | × |
各項目の解説
味
下剤の特徴の一つとして味が独特であることが挙げられます。患者さんによっては、下剤の味が受け付けられず、大腸カメラ検査を懸念する方もいらっしゃいます。一般に濃いポカリスエットのような味がしますが、それぞれに飲みやすいように味付けされています。味は好みによって異なりますが、比較的飲みやすい味はマグコロールPのように思われます。
飲む量
飲む量も下剤により異なります。基本的に平均1〜2リットルを飲んで頂きますが、飲む量が比較的少なくて済むのはサルプレップです。ただし、便の状態次第では、下剤の追加投与も考えられますのでご了承ください。
洗浄力
下剤で最も重要な要素になります。大腸カメラ検査を正確に行うためには、腸内を綺麗にして観察しやすくする必要があります。仮に洗浄力の弱い下剤を選択し、腸の洗浄が不十分だった場合、せっかく下剤を飲んだのに大腸カメラ検査ができず予約取り直し、となるリスクがあります。洗浄力が強いものは、サルプレップやモビプレップなどになります。
飲み方
下剤の種類により飲み方が異なり、水やうすいお茶と並行しながら飲む下剤(サルプレップ)や下剤の作り方がやや複雑な下剤(モビプレップ、マグコロールP)、既に完成した下剤を飲むというシンプルな飲み方の下剤(ニフレック)など、様々な飲み方があります。
サルプレップ
サルプレップは、2021年に日本製薬株式会社から発売された新しい下剤で、現在最も高い洗浄力を持つ下剤の一つです。この下剤はレモン風味で比較的飲みやすく、下剤自体の服用量が少ないのが特徴です。サルプレップの服用方法は、サルプレップ1杯と水2杯をくり返して飲み、腸内がきれいになった時点で終了します。サルプレップは非常に強い洗浄力を持つため、短時間で腸内を効果的に洗浄することが可能です。しかし、高齢者や腎臓機能が低下している方には適していない場合があります。
モビプレップ
モビプレップは、梅ジュース風味で飲みやすく、強い洗浄力を持つ下剤です。この下剤はモビプレップ2杯と水1杯を繰り返して服用し、腸内がきれいになった時点で終了します。比較的少ない服用量で効果が得られるため、大量の下剤を飲むのが苦手な方にも適しています。ただし、排便状況によっては総服用量が多く感じられることがあり、飲みきるのが難しいと感じる方もいます。
マグコロールP
マグコロールPは、薄いスポーツドリンク味で苦味が少ない下剤です。この下剤は、1,800mlの溶液を1〜2時間かけて全量を飲み切るように服用します。マグコロールPは味が良く、服用方法も比較的簡単です。しかし、洗浄力はモビプレップなどと比べてやや劣るため、腸内の洗浄が難しい場合には効果が不十分なこともあります。
ニフレック
ニフレックは、高浸透圧のポリエチレングリコール(PEG)を主成分とした下剤で、腸内を洗浄するために使用されます。 比較的安全で、腎機能が低下している患者や高齢者の方にも適しています。ニフレックは味が薄いレモン風味で、2Lの溶液を1〜2時間かけて飲み切ります。
ビジクリア
ビジクリアは、錠剤タイプの下剤で、どうしても液体の下剤が飲めない場合でも使用可能です。この下剤は、ビジクリア5錠と水200mlを10回繰り返しながら、4〜6時間かけて服用します。ビジクリアのメリットは、液体下剤の味が合わない場合でも服用できることです。しかし、服用する錠剤の数が多く、洗浄力も他の下剤に比べて弱いのがデメリットです。
鼻チューブ法と内視鏡的洗浄液注入法
当院では、下剤を飲むことが難しい患者様のために、鼻チューブ法や内視鏡的洗浄液注入法も提供しています。
鼻チューブ法
鼻チューブ法は、鼻から胃の中に極細いチューブを挿入し、チューブを通じて下剤を院内でリラックスした姿勢で点滴しながら注入する方法です。この方法は、下剤の味や飲みきることに抵抗がある患者様に適しています。鼻チューブ法を使用することで、患者様は下剤の味を全く感じることなく、腸内を効果的に洗浄することができます。この方法は、鼻から挿入した細いチューブは思ったほど違和感はありませんので、下剤に対して吐き気や嘔吐が強い方や、液体の大量摂取が困難な方にはお勧めです。
YouTubeで見る「鼻チューブ注入法」
内視鏡的洗浄液注入法
内視鏡的洗浄液注入法は、内視鏡(胃カメラ)を使って直接腸内に洗浄液を注入する方法です。この方法は、腸内を迅速かつ効果的に洗浄することができ、特に緊急性の高い検査や、通常の下剤が効果を発揮しにくい場合に使用されます。内視鏡的洗浄液注入法は、内視鏡検査と同時に行うことができ、患者様の負担を軽減します。
下剤の選択基準
各種下剤にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、最も重要なのは「洗浄力」です。洗浄力が不足して腸内が十分にきれいにならなかった場合、検査を正確に行えず、再検査が必要になることがあります。これでは、下剤がどれほど飲みやすくても、意味がありません。そのため、当院では洗浄力の高い「サルプレップ」や「モビプレップ」を推奨しています。
森外科医院の予約とお問い合わせ
森外科医院では、24時間WEB予約を実施しております。健康診断を受けていない方や、体調に不安がある方は、ぜひ一度森外科医院で大腸カメラ検査を受けてみてください。予約やお問い合わせは、WEBサイトまたはお電話で承っております。
まとめ
森外科医院では、患者様のニーズに合わせた下剤を提供し、安心して大腸カメラ検査を受けて頂けます。下剤をしっかり飲み切ることは、検査の精度を高め、ポリープや初期のがんを見逃さないために極めて重要です。下剤の選択に関しては、患者様の体調や嗜好に合わせて最適なものを提供いたします。大腸カメラ検査を通じて、健康を維持し、病変の早期発見・早期治療を目指しましょう。