巻き爪・陥入爪とは?
10人に1人は発症すると言われている巻き爪や陥入爪ですが、これらは症状がない場合でも予備軍として存在することがあるので、注意が必要です。
ここに細菌が入って感染を起こすと化膿してしまいます。こうなると何か月も治らなかったり、鎮痛薬や抗生剤の投薬に切除や手術などが必要になってくるため、こうなる前にちゃんとした矯正や予防が必要となってきます。
- 巻き爪とは、特に足の親指の爪が両側縁に向かって深く曲がって食い込んでいる状態を言い、痛みがないのが特徴です。
巻き爪とは、爪の端が内側に巻き込んだ変形のことをさし、痛みはあまりありません。巻き爪は爪の下や周りの皮膚を傷つけやすいため、ばい菌感染も重なって炎症を起こすと「化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)」を起こすことがあり、こうなると痛みを伴います。
- 陥入爪(かんにゅうそう)は、爪の先端や両端が皮膚に刺さって炎症を起こした状態をいいます。巻き爪があると起こりやすいのですが巻き爪がなくても起こります。
原因は明らかではありませんが、日常生活の中で靴の選び方や爪の切り方などの工夫で、これらの症状を改善したり、予防することができます。
巻き爪と陥入爪は合併して起こる場合があります。いずれも、日常よくある疾患ですが、治療方法は未だ確立されていません。そのため、病院を転々とし、中には爪を全部切除するなど不適切な治療を行う病院も多いのが現状です。
🔵 巻き爪と陥入爪を見分けて治療しましょう (あなたはどのパターン?)
① 爪が巻いているが、痛みはない → 巻き爪(細菌感染なし)
② 爪が巻いて痛みがあるが、皮膚には刺さってはいない → 巻き爪+爪囲炎(細菌感染疑い)
③ 爪は巻いていないが、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある。 → 陥入爪+爪囲炎(細菌感染疑い)
④ 爪が巻いており、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある。 → 巻き爪+陥入爪に爪囲炎(細菌感染疑い)
🔵 巻き爪が起こる原因とは
さまざまな理由がありますが、主な原因は、爪に加わる力のバランスの問題です。爪が横から強く圧迫されたり、爪の下から受ける力がなくなったりすると、爪が内側に向かって巻いていくと考えられています。
① 足の指に力がかからない状態: お年寄りや療養中(寝たきり)など足の親指に体重が加わらない人や、足の指を地面につけないまま歩くタイプ(いわゆる「浮き指」)の人の足には、巻き爪が多いことがわかっています。本来、歩くときに足指が地面からの力を受けることによって、爪はなだらかなアーチ形に保たれています。この力が不足してしまうと爪は丸まった変形を起こしてしまいます。 また、外反母趾があると、歩くときに足の親指に正しい方向から力が加わらないために、巻き爪が起こりやすいようです。
② 靴の問題: 先のとがったパンプスなど指先がきゅうくつな靴や、足の形に合っていない靴を履いていると、爪が圧迫され折れ曲がってきます。巻き爪の方は、自分の足にきちんと合った足先の余裕のある靴を選びましょう。このことは、外反母趾や、タコ・ウオノメとなどの予防にも大切です。
③ 間違った爪の切り方: 爪を短く切りすぎる「深爪」が続くと、爪の端が皮膚に埋もれやすくなります。こうなると歩くたびに爪の両端が皮膚に押され、結果として巻き爪になってしまいます。足の爪は、短く切り過ぎないようにしましょう。
④ その他: 爪水虫などの爪の病気や、服用している薬剤が影響する場合もあります。このような原因もつきとめて取り除くのが理想的です。症状に応じた治療(対症療法)が必要となってきます。
治療方法
爪の状態に応じて、治療方法が異なります。爪が幅広いタイプの陥入爪と弯曲爪、爪甲鉤弯症に大きく分けられます。さらに、爪の周囲(爪郭)が感染している場合や、爪の刺激によって化膿性肉芽腫がある場合は、これらの治療を同時に行っていきます。
検鏡して菌がいた場合、爪水虫(爪白癬)などが巻き爪の原因でもあるので、同時に爪水虫の治療を行っていきます。
具体的な治療方法を以下に挙げてみましょう。
テーピング法
ご自宅でできる簡易な治療方法です。伸縮性のあるテーピングを用いて、爪縁と皮膚を引き離すのが目的で、アンカーをかけるようにテーピング固定をしていきます。爪の食い込みを軽くしていくので、痛みなどの苦痛が緩和されます。テーピングは薬局などに売っているので、ご自身でしかも安価で治療できます。
コットンパッキング法
爪の周囲に炎症がある場合に有効な治療方法です。比較的症状の軽い巻き爪や陥入爪の方におすすめで、爪の角にコットンパッキングを挿入し、固定します。 痛みが挿入後より緩和され、症状が改善されていれば適応しているということで、慣れればご自身でできる治療方法です。
ガター法
爪の角にチューブを挿入して固定していきます。原理はコットンパッキングと同じですが、より安全性が高く、効果が明らかで、挿入後よりも痛みが格段に改善します。コットンパッキングと同様に健康保険が適用されます。
ワイヤー法
弯曲爪に有効な治療方法です。逆に、幅広く弯曲していない爪には適していません。ワイヤーを使った矯正方法で、伸びた爪の白い部分に2か所穴をあけます。その穴にワイヤーを通して短くカットし、固定します。穴をあける爪の白い部分は、普段爪切りで切る部分なので全く痛くありません。
爪の変形度合など、患者さんの症状によっては完治するまでに3~8カ月ほどかかります。多くの弯曲爪に有効な治療方法ですが、深爪直後など爪を切った後は、ワイヤーを挿入する場所がないためこの治療ができません。その場合は、ガター法やテーピング法などで時間稼ぎが必要になります。また、状況によって4~6週ごとにワイヤーの入れ替えが必要になります。 材料費として1本6.600(税込)ご負担頂いております。
フェノール法
爪が幅広いタイプの弯曲の少ない陥入爪に有効な治療方法です。化膿していても手術が可能で、健康保険が適応している治療方法です。
一方、フェノール法には以下のようなデメリットがあると考えられています。
- 爪の幅が狭くなってしまう
- 弯曲爪を治療すると、再度弯曲をしてしまう
- 不十分なフェノール処置で爪が再生してくること
- 両側同時に行うと、爪が生えてくる方向が変わってしまう などが挙げられます。
しかし、幅広い爪で弯曲の少ない陥入爪には適している治療方法です。また、化膿性肉芽腫が併発している場合は、同時に切除することが可能です。
コレクティオチタン
爪が短い方でも治療が可能で、巻き爪や陥入爪でお悩みの患者さんに、最もお勧めできる治療方法です。痛みの少ない治療方法で、装着後も日常生活にほとんど制限がないので、治療による苦痛がないのがメリットです。
- 爪が短い方
- 先端より手前で変形の強い方
に適していて、巻き爪の形状や爪周囲の状況に応じて、ワイヤーの長さやカーブ、張り具合をその場ですぐに調整できるので、安心かつ満足度が非常に高い治療と言えます。
日常生活で気を付けること
歩き方の質と量
歩き方は人それぞれですが、内股歩き、ガニ股歩きなど足底の外側に体重がかかっていることが多いようです。このような歩き方のクセによって、爪のトラブルやタコ・ウオノメ、足指の変形が起こっている可能性があります。
正しい歩き方をすると、重心は足のうらから親指側にスムーズに移動します。まずかかとで着地してから、重心は前方の親指側に移動します。踵(かかと)から親指の付け根へと体重移動という流れが理想的です。
背筋を伸ばして、腕を前後に、特に後ろに大きく振って歩くように意識すると、歩き方が自然にかっこ良くなります。歩き方が改善すると足の指が地面をしっかりとらえられるようになり、巻き爪を含めた足のトラブルの予防にもつながります。また、コロナ禍で巣ごもりが増えたため、運動量・歩行の量が減ったためか巻き爪の方が増えてきているようです。
爪切り
爪の切り方によって、陥入爪になってしまったり、痛みが生じたりするので、爪切りの際には注意が必要です。切る長さは、ご自身が上から見た時に爪の下の皮膚が見えない程度の長さがちょうど良いとされています。
靴選び
靴によっても、爪の状態を悪化させたり、痛みが発生したりするので靴選びはとても大切です。先が細くなっている靴や、窮屈な靴は痛みが出ます。とくに、すでに痛みがある時は、スニーカーやサンダル、足首のしまった靴をお勧めしています。
このように、靴選びを気を付けるだけで、陥入爪を予防することもできるので注意してみてください。