高尿酸血症・痛風とは
尿酸は、私たちの体内で「プリン体」 という物質が細胞の新陳代謝やエネルギーの消費に使われ、分解されることによってできる老廃物です。
高尿酸血症とは、血液中に溶けた尿酸の量をあらわす 「血清尿酸値」が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。
尿酸値が高い状態が続くと、血液中に溶けきらなくなった尿酸の結晶が関節に沈着して、ある日突然、関節が赤くはれあがり激しい痛みを伴う発作を起こします。
これを痛風発作(痛風節炎)といい、血液に溶けきれなくなった尿酸が関節に析出することで強い痛みを伴う急性関節炎を起こします。
痛風発作は夜中から早朝に好発
痛風発作のリスクは血清尿酸値が高いほど、また高い状態が長く続くほど高まります。
また痛風発作は夜中から早朝にかけての時間帯が日中に比べて2.4倍も起こりやすいという報告があります。
高尿酸血症は健康診断で見つかることが多いので、定期的に血液検査を受けて早期発見につなげ
血清尿酸値をきちんとコントロールすることが大切です。
放置して炎症を繰り返すと全身に影響を及ぼしてしまいます。
高尿酸血症になるしくみ
体内では通常、毎日同じ量の尿酸がつくられ(産生)、体外に出される(排池)ので、 尿酸の量(「尿酸プール」といいます)は一定に保たれています。
しかし、なんらかの原因で産生と排池のバランスが崩れると、尿酸が増えすぎて高尿酸血症になってしまいます。
高尿酸血症には、尿酸が作られ過ぎる「産生過剰型」、 排池されにくい「尿酸排池低下型」、作られ過ぎるうえに排池されにくい「混合型」の3つのタイプがあります。
尿酸の生成と排泄のバランスが崩れる原因としては、遺伝的な体質や腎臓の働き（腎機能）の低下のほか、食生活や運動不足、ストレスなどの環境的な要因も関係してきます。
発作が起こってしまった時の対処法
痛風発作が起きたら、患部を心臓より高くして冷やしましょう。温めたり、もんだりすると逆効果です。無理に歩き回るのも禁物です。ただし、すでに尿酸値を下げる薬をきちんと服用している方が痛風発作を起こした場合は、そのまま薬は飲み続けてください。
～痛風発作の治療～
痛風発作が起きたら、激痛を和らげるために関節の炎症を抑える治療を、発作が起きている間だけ行います。痛風発作による痛みを抑えるために、非ステロイド抗炎症薬を短期間だけ服用していきます。
高尿酸血症を放置すると、脳卒中や心筋梗塞、尿管結石の危険が高まります！
高尿酸血症・痛風は、高血圧症や耐糖能異常（糖尿病）などとともに生活習慣病の一つとして捉えられます。また、高尿酸血症は他の生活習慣病を合併する割合が高く、合併することで脳卒中や心筋梗塞などの脳・心血管障害を発症する率が非常に高くなることが知られており、マルチブルリスクファクター症候群と呼ばれています。
痛風発作は高尿酸血症をベースとして発症するため、単に急性関節炎とは考えず、発作が収まった後も高尿酸血症を是正するための治療を継続することが重要です
高尿酸血症の治療
〇高尿酸血症の治療
１、食べ過ぎを慎む： かつてはモツや豆類などを制限していましたが、栄養のバランスが取れていれば取り入れても良いでしょう。大切なことは、カロリーオーバーにならないように注意しながら、1日30食品をとるよう努めることです。
２、適度な運動： 健康維持、ストレス解消のためには、ジョギングや水泳、自転車走などの有酸素運動が適しています。日頃からまめに歩くように心がけ、休日は軽く汗ばむ程度の運動を楽しみましょう。
３、水分の補給： 水分の補給が足りなかったり、汗をかきすぎたりすると尿の量が減り、尿酸が排泄されにくくなります。のどが渇く前に、糖分を含まない水分を十分に補給するように習慣づけましょう。
４、アルコール類は控えめに： アルコールは尿酸値を上昇させ、カロリーの摂り過ぎにもなるので、医師から節酒を指示されている人は控えましょう。特に、ビールには尿酸のもとになるプリン体が多く含まれています。
プリン体を控えましょう
尿酸を作る原料となるプリン体を多く含んだ食品のとりすぎは、痛風などの障害を引き起こす高尿酸血症を悪化させます。プリン体の摂取量を1日400mgまでに控えましょう。
それでも改善しない（尿酸が下がらない）場合は、薬物治療を始めましょう。
これらのお薬を上手に単剤または組み合わせて使用します。
これまで治らなかった頑固な痛風結節なども、食生活の改善とお薬をきちんと服薬することで尿酸値を基準値の半分以下に抑え込めばきれいに治すことが可能となってきます。
最近は、新薬も開発されていますので、気になる方は当院にご相談ください。
