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粉瘤(アテローム)はほっておいても大丈夫?

粉瘤(アテローム)はほっておいても大丈夫?

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に形成される良性の嚢胞(腫瘍)で、主に皮脂腺が詰まることで発生します。この嚢胞は、通常は角質や皮脂が内部に溜まっている状態で、皮膚の表面に隆起したかたまりとして現れます。粉瘤は良性であるため、すぐに命に関わるようなものではありませんが、化膿して膿が出てきたり、放置しておくと急に大きくなることがあり、こうなると治療が難しくなり、痛みもとれなくなってしまいます。こうならないように粉瘤は小さいうちに医師に相談して適切な治療を受けることが必要となります。

粉瘤を放置するリスク

粉瘤を放置すると、いくつかのリスクが伴います。 以下に、主要なリスクをご説明いたします。

感染のリスク

粉瘤は細菌感染する可能性があります。細菌感染が起こると、患部が赤く腫れ、痛みを伴い、膿が溜まります。細菌感染した粉瘤は、適切な治療を受けなければさらに悪化することがあり、場合によっては全身的な感染(敗血症)に進展することもあります。稀ですが糖尿病や癌や基礎疾患のある方は敗血症に移行し命に関わることがあるため、感染が進行する前に早期に処置を行うことが重要です。

再発のリスク

粉瘤は、一度治っても再発することがよくあります。特に、感染や炎症を繰り返すことや、完全切除されていない場合は再発の可能性が高まります。再発を防ぐためには、粉瘤を完全に取り除くことが必要です。手術によって粉瘤を包んでいる袋ごと完全に摘出することが、再発防止の最も確実な方法です。

大きさの増加

粉瘤は放置すると徐々に大きくなることがあります。大きくなると、見た目が気になるだけでなく、物理的な不快感や周囲の組織に圧迫感を与えることがあります。さらに、大きな粉瘤は感染のリスクも高まり、治療も複雑になる傾向があります。早期の段階(1~2㎝以下の小さいうちに)で治療を受けることで、完全に治すことができます。

悪性化のリスク

粉瘤は基本的には良性ですが、ごく稀に悪性化することがあります。また、そもそも粉瘤ではなくてまったく別の腫瘍(平滑血管筋腫、脂肪種、変性したガングリオン、繊維種や肉腫など)であったりすることがあり、これらは術後の病理で初めて診断される場合があります。非常に稀なケースですが、粉瘤の形状や色が変わったり、急激に大きくなったりする場合は、早めに医師の診察を受けることをお勧めいたします。特に、皮膚が破れやすくなったり、急に痛みが増したり、変色する場合などは注意が必要です。

皮膚の変形や瘢痕のリスク

大きな粉瘤や長期間放置された粉瘤は、周囲の皮膚にダメージを与え、瘢痕(はんこん:傷跡)を残すことがあります。これにより、見た目に影響が出るだけでなく、皮膚の機能にも影響を及ぼすことがあります。なるべく小さいうちに早期治療(切除)することにより、皮膚の変形や瘢痕を最小限に抑えることができます。

血行不良や神経圧迫のリスク

粉瘤が大きくなると、その部位の血行が悪くなったり、神経を圧迫したりすることがあります。これにより、痛みやしびれを感じることがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。血行不良や神経圧迫の症状が現れた場合は、速やかに医師の診断を受けることが重要です。

以上のリスクを考慮すると、粉瘤(皮膚にできたしこり)は症状がなくても放置せず、早期に適切な治療を受けることをお勧めします。医師にご相談頂き、必要な処置を受けることで、健康への影響を最小限に抑えることができます。

粉瘤治療の流れ

経過観察

粉瘤が小さく、痛みや不快感がない場合は、経過を観察することも選択肢の一つですが、1㎝を超えてきた場合は、切除しておいたほうが良いと思われます。大きくなればなるほど、痛みも傷も大きくなり、治りも悪くなります。自己判断で放置せずに、定期的に医師の診察を受けて状態を確認しておくことが必要です。

医師の診察

粉瘤が大きくなったり、感染の兆候が見られたりする場合は、すぐに医師の診察を受けるべきです。医師は粉瘤の状態を確認し、必要に応じて治療を行います。

外科的摘出

粉瘤を完全に取り除くためには、外科的摘出が最も効果的です。手術は通常、局所麻酔を使用して行われますが、必要に応じて全身麻酔(無痛)も併用します。粉瘤を含む嚢胞を完全に取り除くことによって再発のリスクを大幅に減少させることができます。

感染治療

感染した粉瘤は、抗生物質による治療が必要です。場合によっては、膿を排出するための切開が行われることがあります。感染が収まった後、粉瘤の再発を防ぐためにも、粉瘤の完全摘出を行うことをお勧めいたします。

自己処理の危険性

粉瘤を自己処理することは絶対に避けるべきです。自己処理は感染リスクを高め、不潔になり炎症を悪化させる可能性があるからです。また、粉瘤を完全に取り除くことができなくなり、再発のリスクが高まります。専門医による適切な処置を受けることが、安全かつ効果的な対処法です。

まとめ

粉瘤(アテローム)は、通常は良性であり、直ちに命に関わるものではありませんが、放置することで感染、再発、大きさの増加、まれには悪性化といったリスクが伴います。小さな粉瘤や痛みのない場合でも、定期的に医師の診察を受けて状態を確認することをお勧めいたします。皮膚のしこり(粉瘤)が1㎝以上に大きくなったり、感染の兆候が見られる場合は、早急に専門医の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。自己処理は避け、医師の指示に従ったケアと治療を行うことで、健康な皮膚を保つことができます。

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